楽しく英語を勉強する方法を探していますか?
この記事では、村上春樹小説『海辺のカフカ』とその英訳版『Kafka on the shore』の読みくらべをしながら、英語表現を学びます。
村上春樹作品を読んだことのある方も、そうでない方も、文学を楽しみながら一緒に英語を学んでいきましょう。
★【村上春樹小説『海辺のカフカ』英語版を読む】第29回目の今日は、前回の続き、第一章の続きから。
前回の第28回目はこちら⬇︎
【たのしく英語勉強】村上春樹 小説『海辺のカフカ』英語版を読む【28】
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【たのしく英語勉強】村上春樹小説『海辺のカフカ』英語版を読む【29】
I can’t remember the last time I laughed or even showed a hint of a smile to other people. Even to myself.
Haruki Murakami 『Kafka on the Shore』Knopf Doubleday Publishing Group(p9)
考えてみれば、僕は思い出せないくらい昔から一度も笑っていなかった。微笑みさえしなかった。他人に対しても、それから僕自身に対しても。
村上春樹 『海辺のカフカ』親潮社 (p20,21)
(発音:アイ キャント リメンバー ザ ラスト タイム アイ ラフドゥ オア イーヴン ショウドゥ ア ヒント オブ ア スマイル トゥ アザー ピーポー/ イーヴン トゥ マイセルフ)
(直訳:前回他人に対して笑ったり少しのほほえみを見せたのさえも思い出せない。自分自身に対してさえも)
★ can’t:cannot の短縮、…できない
★ remember:思い出す、覚えておく
★ last time:前回、最後に
★ laugh:笑う、おもしろがる
★ even:…でさえも、…すら
★ show:見せる、現す
★ hint of:かすかな兆候、少しだけ、…の気配
★ smile:ほほえみ
★ other:他の、別の
★ people:人々
★ myself:自分自身
I’m not trying to imply I can keep up this silent, isolated facade all the time.
Haruki Murakami 『Kafka on the Shore』Knopf Doubleday Publishing Group(p10)
でもいつもそういった静かな孤立をまもりきれたわけじゃない。
村上春樹 『海辺のカフカ』親潮社 (p21)
(発音:アイム ノット トライイング トゥ インプライ アイ キャン キープ アップ ディス サイレンス アイソレイテッドゥ ファサイド オール ザ タイム)
(直訳:常にこの静寂な孤立した見かけを維持できるとほのめかそうとしているのではない)
★ try to:…しようとする、努力する
★ imply:ほのめかす、意味する、暗示する
★ keep up:維持する、落とさない、上げておく
★ silent:無言、静寂
★ isolated:孤立した、隔離された、絶縁した
★ facade:建物の正面、見かけ、外見
★ all the time:いつも、常に
Sometimes the wall I’ve erected around me comes crumbling down.
Haruki Murakami 『Kafka on the Shore』Knopf Doubleday Publishing Group(p10)
自分のまわりにめぐらせたはずの高い壁があっさりと崩れてしまうことだってあった。
村上春樹 『海辺のカフカ』親潮社 (p21)
(発音:サムタイムス ザ ウォール アイヴ エレクテッドゥ アラウンド ミー カムズ クランブリング ダウン)
(直訳:時には自分のまわりに立てた壁が崩れ落ちることもある)
★ sometimes:時には、たまに
★ wall:壁、塀、隔て
★ erect:立てる、建設する
★ around:周囲に、あちこちに
★ come:来る、生じる、…という状態になる
★ crumble:砕く、崩れる、滅びる
★ down:下へ、落ちて、すっかり、完全に
It doesn’t happen very often, but sometimes, before I even realize what’s going on, there I am ━ naked and defenseless and totally confused.
Haruki Murakami 『Kafka on the Shore』Knopf Doubleday Publishing Group(p10)
それほど何度もあったというのではないけど、ときどきはあった。壁は知らないあいだにうしなわれて、僕は裸で世界の前にむき出しになっていた。そういうときには僕は混乱した。それもひどく混乱した。
村上春樹 『海辺のカフカ』親潮社 (p21)
(発音:イット ダズント ハップン ヴェリー オーフン バット サムタイムス ビフォア アイ イーヴン リアライズ ワッツ ゴーイング オン ゼア アイ アム ネイキッド アンド ディフェンスレス アンド トータリー コンフューズド)
(直訳:それは頻繁には起こらないが、時々、何が起こっているのか理解すらする前に、僕は裸で無防備な状態でそして完全に混乱して、そこにいる)
★ doesn’t:…しない
★ happen:起こる、生じる
★ very:ひどく、大いに、とても
★ often:しばしば、よく、多くの場合
★ before:以前に、…よりも早く
★ realize:理解する、悟る、実現する
★ what:何が
★ going on:起こっている、始まっている、続行する
★ there I am:私はそこにいる
★ naked:裸の、むき出しの、ありのままの
★ defenseless:無防備の、防御手段がない、武器を持たない
★ totally:全く、完全に、すっかり
★ confused:混乱した、訳がわからない、途方にくれた
At times like that I always feel an omen calling out to me, like a dark, omnipresent pool of water.
Haruki Murakami 『Kafka on the Shore』Knopf Doubleday Publishing Group(p10)
おまけにそこには予言があった。予言はいつも暗い水みたいにそこにあった。
村上春樹 『海辺のカフカ』親潮社 (p21)
(発音:アット タイムズ ライク ザット アイ オールウェイズ フィール アン オーメン コーリング アウト トゥ ミー ライク ア ダーク オムニプレゼントプール オブ ウォーター)
(直訳:そのような時には、いつも予言が僕に叫んでいるのを感じる、暗く偏在する水たまりのように)
★ time:時、時間
★ like:…のような、同様に
★ always:いつも
★ feel: 感じる、思う
★ omen:前兆、縁起、予言、予知、お告げ
★ call out:叫ぶ、大声で呼ぶ、呼び出す、召集する
★ dark:暗い、闇の
★ omnipresent:あらゆる場所に存在する、(神などが)同時にいたる所にある
★ pool:プール、水たまり、よどみ
★ water:水
以上、【たのしく英語勉強】村上春樹 小説『海辺のカフカ』英語版を読む【29】はここまで。
★ マーカーは覚えておくと使える英語表現です。
今回でてきた What’s going on は日常会話でもよくでてきます。
What’s going on? (何が起こってるんだ?・調子はどう?)
状況の確認や、相手の調子をたずねる挨拶として使えます。
すこしずつわかる英語表現が増えると、本を読むのも楽しくなりますね ♪
お話は次回の【村上春樹英語版を読む30】に続きます。⬇︎
今日学習したパートはこちら⬇︎
訳なしで読んでみましょう。
I can’t remember the last time I laughed or even showed a hint of a smile to other people. Even to myself.
I’m not trying to imply I can keep up this silent, isolated facade all the time. Sometimes the wall I’ve erected around me comes crumbling down. It doesn’t happen very often, but sometimes, before I even realized what’s going on, there I am ━ naked and defenseless and totally confused. At times like that I always feel an omen calling out to me, like a dark, omnipresent pool of water.
Haruki Murakami 『Kafka on the Shore』Knopf Doubleday Publishing Group(p9,10)
★ 分からなかった部分は、上に戻ってチェックしてみて下さいね♪
【村上春樹英語版を読む30】に続きます。
【たのしく英語勉強】村上春樹 小説『海辺のカフカ』英語版を読む【30】
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村上春樹の『海辺のカフカ』は世界中で読まれている小説です。
英語に翻訳された『Kafka on the Shore』はニューヨークタイムズ紙で年間のベストブック10冊に選ばれるなど、高い評価を受けています。